「平和学からみた環境問題」02/06/22 報告: 中馬 祥子
エコ・フェミニズムの現在(第10章)
1. リプロダクションとは?
re:再 + production:生産 = 再生産
「性と生殖」という問題に直接限られる概念ではない
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生物としての人間の再生産
社会的存在としての人間の再生産
人間関係,社会的制度(経済・政治・文化等)の再生産
それらを包み込む生態系全体の再生産
再生産の問題は,こうした様々なレベルにおける再生産の構造的連関を問うことである
2. ラッペ,シュアマン「出生率に影響する意思決定の重層構造」
→例としての「日本における少子化」問題
‘73〜,日本経済における労働の非正規雇用化
→女性の「二重」負担(家庭責任と「二流」労働者としての責任)の増加
→非婚化,晩婚化の進展 (この時期:同時に商品消費への依存の深化も進展)
→少子化の帰結:社会そのものの再生産の仕組みが崩壊しつつある?
3. エコ・フェミニズム
資本主義市場経済と人間や自然の「再生産」との関わりを問題化した運動/議論の一例
【エコ・フェミニズムの主張】
資本主義市場経済は,女性と自然とを共に「市場の外部」として一方的な搾取・収奪の対象とする。
有る資源を食い尽くしていくシステムであり,本質的に「再生産」の仕組みを破壊するシステムである
=「人々が画一的な市場の尺度で序列化される」(by草島さん)という問題と相補的な指摘
【エコ・フェミニズムの実践】(テキスト10章を参照のこと)
・ 先進国の例
・ 途上国の例
4.エコ・フェミニズムの問題点
エコ・フェミニズムの主張には大きな意義があったが…問題もあり。
市場とその外部という二分法により,資本主義市場経済内部のヒエラルキカルな構造を捉える分析視点が欠落
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【まとめ】 資本主義市場経済には三層の問題群があるだろう
(1)人間を画一的に,市場の尺度で序列化する(→草島さん:第14章)
(2)「市場の外部」を市場の序列の最底辺に位置づけ(=継続的源畜過程?)
収奪・搾取する(→第10章:エコフェミの主張)
(3)資本主義市場経済内部にヒエラルキカルな構造が作られていく
=エコ・フェミニズムの論理では,この仕組みについて考えることが出来ない。
→第7章(来週の中馬報告)で言及。
【設問】
「人を数量化する/人や自然をモノとして対象化する」ことは「経済」の仕組みとして避けられないと思いますか? またその理由は?